ソフトウェア開発側から見たクラウドライセンシング

クラウドライセンシングと一言で言っても、形式もサイズもさまざまです。しかし、ライセンスがクラウドを通じて作成・管理されるという点は共通で、永続的なオンライン使用を望むか、オフラインオプションを選択するか等により、違いが出てきます。

オフラインとオンラインの違い

「オフライン」とは、ライセンスはクラウド経由で管理されるものの、エンドユーザーのデバイス上ではネット接続が不要ということを指します。特定の実装次第では、オンライン接続が可能な場合に、エンドユーザーのデバイスとライセンス作成サーバを同期させ、更新することができます。また、ライセンスに時間制限を設定することで、定期的なインターネット接続をエンドユーザーに促し、ライセンスの同期を義務付けることも可能です。

一方「オンライン」では、ライセンスの管理・保存・使用はすべてクラウド上で行われます。エンドユーザーまたはエンドデバイスは、常にインターネットに接続する必要がありますが、2つの大きなメリットもあります。ライセンスが常に最新の状態に保たれる点、あるデバイスから違うデバイスへの移動(例:午前中はオフィスで、午後は自宅で仕事をする場合)も容易である点にあります。

CodeMeterの利用:オフラインの場合

オフラインで使用する場合、CodeMeter License Centralをライセンスの作成・管理をするバックエンドに、オプションとしてCodeMeter License Portalをフロントエンドとすることで、クラウドを介したライセンス管理が可能となります。これは通常、ERPやCRMシステムを使用することなく、ライセンスや顧客データを管理したい場合におすすめです。

またCmActLicenseは、オフラインでライセンスが使えるシンプルなソリューションです。CmActLicenseは、エンドユーザーが所有するデバイスのフィンガープリントにバインドされます。ライセンスがアクティベートされた後、すぐにオフラインでの使用が可能です。

このアクティベートは、CodeMeter License Portal、WebDepot、またはソフトウェア・アクティベーション・ウィザードのいずれかを使用して行うことができます。また、専用のゲートウェイを介してCodeMeter License Centralと通信し、必要に応じてライセンスを更新することで、CodeMeter License Centralとローカルライセンスとを同期させることもできます。

CodeMeterの利用:オンラインの場合

オンラインにおいても、CodeMeter License Centralをライセンスの作成・管理のためのバックエンドとして使用します。これには、オフラインライセンスとオンラインライセンスをCodeMeter License Centralと共に使用できるという大きなメリットがあります。また、ERPやCRMシステムへの統合において、プロセスの変更は不要です。一度全てが統合した後、各ユースケースに応じて、必要な場合にはライセンスを作成することができます。もちろん、オフラインと同様、CodeMeter License Portalも使用可能です。

またCmCloudContainerは、Wibu-Systemsが管理するサーバー上でホストされ、クラウド上でライセンスを保持するためのセキュアな環境を提供します。CmCloudContainerは、ローカルのCmActLicenseと互換性があるため、一度統合してしまえば、後から自由に、現場のニーズに合わせてライセンスを設定することができます。

このCmCloudContainerのライセンスも同様に、CodeMeter License Portal、WebDepot、またはソフトウェア・アクティベーション・ウィザードを使用してアクティベートすることができます。先述のオフラインライセンスとの唯一の違いは、エンドユーザーの管理者、またはベンダー自身でアクティベートできる点にあります。

ライセンスの更新は、ソフトウェア・アクティベーション・ウィザードを通じて行うこともできますが、透過的かつ、よりスマートなオプションとして、バックグラウンドでの自動更新トリガーを使うという方法もあります。

ライセンスの種類:シングルvsコンカレント

ライセンスは、単一のユーザーまたは単一のデバイスに付与することも、複数のユーザーと複数のデバイスで共有することも可能です。前者はシングルユーザーライセンスまたはパーソナルライセンスと呼ばれ、後者はフローティングネットワークサーバーまたはコンカレントライセンスと呼ばれます。どちらも、CodeMeterをオフラインとオンラインの両方で使えることに変わりはありません。

シングルの場合:Personal CmCloudContainer

Personal CmCloudContainerは、単一のユーザーに割り当てられるコンテナです。ユーザーは、ライセンシングされたソフトウェアを使用するデバイスを、インターネットに接続させる必要があります。Personal CmCloudContainerは、最大3つのデバイス上で同時にアクティベートすることができるため、ローカルPC上で動作する部分とモバイルデバイス上で動作する部分とを併せ持つ分散アプリケーションやソフトウェアスイートも利用可能です。ソフトウェア開発者またはベンダーは、ライセンス数を設定することで、ソフトウェアを同時に実行できるアクティブデバイスの数を指定することができます。

CodeMeter License Portalでは、各Personal CmCloudContainerが特定のユーザーに割り当てられ、ユーザはそれぞれ、その割り当てられたCmCloudContainerにアクセスし、最大3つのアクティブデバイスを使用してライセンスをアクティベートすることができます。ユーザーが会社などのグループに属している場合、グループの管理者が、CmCloudContainerとそのライセンスを管理します。

コンカレントの場合:Enterprise CmCloudContainer

Enterprise CmCloudContainerは、複数のユーザーによる使用を想定しており、コンカレントライセンス向けに構築されたコンテナです。CodeMeter License Portalでは、Enterprise CmCloudContainerは、デバイスからアクセス可能なメンバーをまとめたグループに割り当てられます。グループの管理者は、CmCloudContainerを管理する権限(例:ライセンスのアクティベートまたはディアクティベート、ユーザーの追加または削除、CmCloudContainer接続に必要なアクセスデータの再設定)を持っています。

またソフトウェア・アクティベーション・ウィザードを使用することで、アクセス用のクレデンシャルファイルが再設定された場合に、デバイスとCmCloudContainer間でのリンクの復元を自動で行うことができます。これは通常、グループから削除されたユーザーのライセンスの継続使用を制限する必要がある場合に有効です。

フローティングネットワークサーバー向けのオプション

CodeMeterでは、ユーザーがフローティングネットワークサーバーを実行するための以下3つの方法を提供しています。

  • CmActLicenseを使用したローカルライセンスサーバー
  • CmCloudContainerのプロキシーとしてのローカルライセンスサーバー
  • CmCloudServerへのダイレクトアクセス

上記3つの方法には、それぞれメリットとデメリットの両方があり、ニーズに合わせて選ぶことができます。どれも共通して、ライセンスはすべてCodeMeter License Centralで管理されるため、ユーザー、エンドユーザー共に状況に応じていつでも切り替え可能です。

ローカルライセンスサーバー

1つ目の「CmActLicenseを使用したローカルライセンスサーバー」では、CmActLicenseはライセンスサーバー上でアクティベートされ、そのサーバーにバインドされます。これにより、エンドユーザーが所有するデバイス自体のフィンガープリントの取得が不要になります。

またCodeMeter Runtimeは、ローカルサーバー上でライセンスサーバーとして認識されます。従って、同じサブネットワーク上のクライアントであれば、ライセンスへすぐにアクセスすることができますが、他のサブネットワーク上のクライアントである場合には、ライセンスの使用に際し、ライセンスサーバーの名前またはIPアドレスが要求されます。必要な設定は、CodeMeter WebAdminから行うことができます。

ライセンスサーバー上のライセンスへのアクセスは、特定のシステム、IP アドレス、Active Directory (AD)ユーザー/グループにライセンスを割り当てるなど、管理者側で設定することができます。さらに、ライセンスの使用状況を把握するため、ローカルライセンスの追跡も可能です。

プロキシーとしてのローカルライセンスサーバー

2つ目の「CmCloudContainerのプロキシーとしてのローカルライセンスサーバー」は、ローカルライセンスとして設定されたCmActLicenseに似ています。この場合、Enterprise CmCloudContainer がライセンスサーバーにインポートされます。ライセンスの設定・アクセス・使用状況の追跡は、オフラインの場合と全く同じ方法で管理されます。但し、CmCloudServerへの接続が必要である点は、異なります。

また、削除されたユーザーは、内部プロキシーへアクセスする権限が自動的に失われるため、他に何か設定する必要はありません。ユーザーが新規で追加された場合には、ADグループのライセンスへのアクセス権限が自動でユーザーに付与されます。

オフラインでの使用状況の追跡に加え、クラウドを通じた利用状況データの取得も可能です。

ダイレクトアクセス

最後の3つ目の「CmCloudServerへのダイレクトアクセス」では、Enterprise CmCloudContainerにユーザーが直接アクセスする必要があります。このケースでは、ローカルライセンスサーバーが提供するすべての機能(例:AD統合、オフライン使用、オフラインでの使用状況の追跡)が使えません。但し、プロキシーサーバーと同様、オンラインでの使用状況の追跡、自動更新トリガーを用いたライセンスの自動更新が可能です。他の2つの方法と異なり、ライセンスへのモバイルアクセスが必要な場合であっても、VPN接続が不要である点は、この方法の最大のメリットと言えます。

CodeMoving:最高水準のセキュリティを実現

CodeMeterは、リバースエンジニアリングや不正コピーを防止する様々な方法を提供し、最高水準のセキュリティ実現に努めています。機密性の高いコードをCmDongle内で実行させるというCodeMoving機能もその1つです。外部に漏れてはならない処理はすべてドングル内部で行われ、出力結果のみが外から見える形になるため、攻撃者によるコードの解析は不可能です。さらに上記で説明したCmActLicenseのユースケースは、CmDongleでも実現可能です。性能上の理由から、CodeMovingは、CmDongleのシングルユーザーライセンス(パーソナルライセンス)でのみ利用可能です。一方、CmCloudContainerでは、以下の場合オプションとしてCodeMovingが利用可能です。一つ目は、Personal CmCloudContainerを使用している場合、もう一つはEnterprise CmCloudContainersの使用でCmCloudServerへのダイレクトアクセスが可能な場合です。

3種類のオプション

 

KEYnote 46 – Edition Fall/Winter 2023

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