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クラスターシミュレーションにおけるライセンシング

コストのかかるハードウェアに代わり、クラウド上での大規模なシミュレーションが行われ始めています。このテクノロジーの可能性を見出したのは、自動車産業だけではありません。さまざまな開発環境/センサー/アクチュエーターシステムをシミュレーションするために、ソフトウェアで必要となるパラメーターやプロパティは、すべてDockerコンテナでモデル化/実行が可能です。しかし、この魅力ある新しいテクノロジーにより、クラスターシミュレーションソフトウェアのライセンシングと保護に関する新たな問題が生じました。

この新たな局面は、ゲーム愛好家には理解されないでしょう。その理由とは、彼らにとって、クラウド上のシミュレーション(何千、何百万ものアクティブなシステムをもつオープンワールドゲーム)は、1990年代から慣れ親しんできた大規模多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG)とかわらないためです。しかし、そのビジネスモデルは、産業用のものと大きく異なります。MMORPGはクラウドで実行され、ユーザーは通常、月額利用料を支払います。開発者は、ライセンシングの際、ユーザー認証のみ行います。これは、USBドングル(例:CmStick)の典型的なユースケースとも言えます。

自動車産業などで一般的なクラスターシミュレーションの場合、このビジネスモデルとは異なります。開発者はシミュレーションソフトウェアを自動車メーカーに販売し、自動車メーカーは、そのソフトウェアを自社のクラウド(例:AWS、Microsoft Azure)で使います。そこで開発者は、ソフトウェアが偶然あるいは悪意をもって第三者と共有されないか、クライアントが支払ったソフトウェア数の範囲で使用しているか、知りたいと考えます。

よくある条件として、クラウドソフトウェアはオンプレミスソフトウェアと同じ必要がある、というものがあります。しかし、クラウドの保護を疎かにすると、オンプレミス版の保護も弱くなるということが起こります。その逆も同様です。さらにもう一つ考慮すべき重要な条件として、クラウドソフトウェアは通常、オンプレミス版の稼働数と比較して、同時稼働数が多いことが挙げられます。つまり、30,000ライセンスを3分以内に稼働させることは、現実的に不可能です。

CodeMeterは、これらの条件すべてを満たします。通常のベストプラクティスでは、CodeMeter License Server用に別のDockerコンテナを維持、となりますが、今回のような大規模なインストレーションで生じる厳しいパフォーマンス要件では、実現不可能です。そこで、CodeMeter Runtimeの重要な部分をアプリケーションのDockerコンテナに配置し、以下の2つのオプションのうち1つを選択します。まず1つ目のオプションでは、CodeMeter Cloud Credentialファイルが各コンテナに含まれます。そして、Wibu-SystemsがホストするCodeMeter Cloud ServerにこれらのCodeMeter Cloud Credentialファイルで接続して、ソフトウェアのライセンスチェックが行われます。このシナリオでは、数百万のクエリーを管理できるよう、簡単にスケールアップすることが可能です。

続いて2つ目のオプションとして、クライアント(例:自動車メーカー)の環境へのカスタムバインディングがあります。Wibu-Systemsのプロフェッショナルサービスチームが、ソフトウェア開発者と協力して、選択されたクラウドのプロパティ(例:サブスクライバー、クライアントID)の組み合わせにバインドする、CodeMeter Runtime用の特別な拡張機能を作成します。クラウドにバインドされたライセンスは、特定の自動車メーカーのAzureクラウドでのみ使用することができ、それ以外で使用することはできません。このオプションは、ソフトウェアのコピー保護を重視するが、使用量カウンターは必要ない、というエンタープライズ契約に最適です。

どちらのオプションであっても、ソフトウェア開発者は、CodeMeterの力を最大限利用し、著作権侵害やライセンスの不正使用からソフトウェアを守ることができます。シミュレーションソフトウェアは、クラウド版、オンプレミス版ともに同じ動作をします。但し、CodeMeterのライセンスは、ユースケースに合わせてカスタマイズする必要があります。

 

KEYnote 42 – Edition Fall 2021