カテゴリ: クラウド

クラウドサービスを前提としたライセンシング

予測メンテナンスや状態監視は、産業界でホットな話題となっています。これは、できるだけ多くのデバイスからデータを収集して処理し、統計的な予測を行い、最悪の事態に陥る前にメンテナンス、修理、交換を行おうというものです。しかし、その内容とはどのようなものなのでしょうか。また、予測メンテナンスを提供する企業は、どのようにしてそのサービスで利益を得ているのでしょう。

データの収集

摩耗や劣化を確実に予測し、起こりうる故障を予防するには、システムが大量のデータを収集して処理する必要があります。これは通常、すべてのコネクテッドデバイスがログファイルを送信するクラウドを介して行われます。予測メンテナンスソリューションの開発者は、気象予報士が天気の予測を行うのと同様に、これらのデータを使って予測アルゴリズムを作成し、過去のデータを将来の事象の予測に活用します。予測メンテナンスシステムも気象予報士も100%正確ではありませんが、傘を持っていく必要があるかどうかをある程度確実に教えてくれます。そして、ある程度の確実性をもって、夏のアリゾナでは雪は降らないが、ネパールでは雪が降るかもしれないと予測できます。つまり、位置情報は、正確な予測を可能にする多くの要素のうちの1つです。

データの収集と処理には多くの労力と資源が必要ですが、ユーザーに真の価値をもたらします。予測メンテナンスサービスを販売する理由は、ここにあります。

現場のライセンス

あるデバイスには、起こりうるさまざまなシナリオで使用される産業制御装置が含まれています。例えば、鉱山での作業を想像してみてください。デバイスがオンラインであることは滅多にありません。つまり、データの共有は、散発的にまたは物理的なオフラインの手段によってのみ可能です。このようなハードウェアのライセンシングは、技術的にも物理的にも困難です。地下1マイルで作業する場合、クラウドは選択肢にも入らないかもしれません。

CodeMeterは、このようなケースに最適なソリューションを用意しています。CmDongleをデバイスに接続、またはソフトウェアのCmActLicenseをバインドします。実際のライセンスは、CodeMeter License Centralによってクラウド経由で配布され、再度ハードウェアがオンライン上の時に、CmDongleやCmActLicenseへ保存することができます。さらにオフラインのシナリオでは、ライセンスファイルを物理的にデバイスまで運ぶことが可能です。

クラウド内のライセンス

このタイプのライセンシングは、実際のデバイスには最適ですが、上記の予測メンテナンスソリューションにはあまり適していません。ソフトウェアがクラウド上にあり、ライセンスを現場にある特定のコンピュータに結びつけることはできません。また、ドングルをクラウドに接続することも不可能です。もちろん、物理的なライセンスサーバーをデータセンターで運用し、クラウドソリューションで利用可能にすることもできますが、コストや可用性の面で新たな問題が発生します(この点については、本ブログの「TMRサーバー」に関する記事で詳しく説明しています)。

クラウドベースのアプリケーションには、CodeMeter Cloud Liteが適しています。これは、ユーザーのためにクラウドで運用するライセンスサーバーであり、ライセンスの信頼性を高めるため、各ライセンスを既知のユーザーにバインドします。

いつも通りの配布

CodeMeter Cloud Liteの最大の特徴は、CmDongleやCmActLicenseで使用されている、ライセンスの配布プロセスを採用している点です。まず、CodeMeter License Centralでリクエストを作成すると、ライセンスの検索コードとしてチケットが返却されます。続いて、オプションステップとして、チケットに添付されたライセンスが実際のターゲットシステムでアクティベートされます。

このアクティベーションは、CmDongle、CmActLicense、またはCmCloudLiteContainerへの移行など、さまざまな形態をとることができます。開発者は、ライセンスを移動させる場所を決定する権限をもっています。これにより、例えば、オンプレミスソリューションとして予測メンテナンスエンジンを販売することができます。これは実際のビジネスで役に立たないかもしれませんが、知っておいて損はありません。

ユーザーに紐づける(バインド)

CmDongleやCmActLicenseのライセンスは、デバイスやその他のハードウェアにバインドされていますが、CodeMeter Cloud Liteの場合、ライセンスは、ユーザーに紐付けられています。これにより、ユーザーのライセンシングプロセスは簡素化します。例えば、CodeMeter License Centralでライセンスを作成した後、直接ユーザーにライセンスを割り当てることができます。どのようなERPシステムと確立された手順があるかによって、採用すべきプロセスも異なります。例えば、SAPで注文が作成された際、すでにユーザーを把握しているか検討する必要があります。もしそうであれば、ライセンスを自動で割り当てるプロセスが適しています。

CodeMeter Cloud Liteの特徴とは?

CodeMeter Cloud Liteは、予測メンテナンスのようなクラウドアプリケーションのライセンシングに適した、シンプルなソリューションです。これには、プログラミング言語(例:PHP、Java、JavaScript、C#、その他.NET言語)でのライセンスクエリの統合を特に容易にする、合理的なSOAPとREST-APIが含まれています。CodeMeter Runtimeと異なり、ライブラリとして利用可能なCインターフェイスはありませんが、SOAPまたはREST-APIはC/C++からも定期的に使用することができます。要望があれば、関連した例を提供します。

CodeMeter Cloud Liteは、オンプレミスや信頼できない環境でソフトウェアが使用される場合に不可欠な、通常の鍵の保存や暗号化機能を意図的に備えていません。個人で行うクラウドプロジェクトの場合、これらは不要です。

利用可能なAPI

CodeMeter Cloud Liteには、ライセンスクエリ用のAPIと、ライセンスのアクティベート/ディアクティベート用の管理APIが用意されており、CodeMeter License CentralからCodeMeter Cloud Liteへのライセンスの移行を、自動で、またはユーザーによるボタンのクリックだけで行うことができます。ライセンスはそのトランザクションの一部として、ユーザーに紐付けられます。

また、ライセンスをディアクティベートしてCodeMeter Cloud LiteからCodeMeter License Centralへ転送し、バインドを解除することも可能です。ディアクティベート/再アクティベートされたライセンスは、別のユーザーコンテキストへ移動させることができます。

CodeMeter License Centralでライセンスが作成されると、管理APIが自動で作業を開始するよう設定が可能になります。これは、ライセンスの作成後すぐ、ユーザーに紐付けるためです。

サーバーはどこへ?

CodeMeter Cloud Liteのサーバーは、クラウド上にあります。信頼の拠り所として機能するため、信頼できるパートナーのもとに置かれ、運用されなければなりません。信頼できるパートナーとは、開発者、またはソフトウェア保護とライセンシングのパートナーであるWibu-Systemsのことをいいます。

原則として、CodeMeter Cloud Liteサーバーの、多数いる顧客のなかの一人の主要顧客への提供を妨げるものは何もありません。つまり、あなたとあなたのキーアカウントとの間に存在する信頼関係が重要となります。また、このサーバーは、プライベートクラウドで運用することもできます。

CodeMeter Cloud Liteサーバーを自分自身またはキーアカウントのいずれかで運用するには、Wibu-Systemsのアンリミテッドライセンスが必要です。これは、契約期間中にCodeMeterコンテナをいくつでも作成可能な年間ライセンシングモデルであり、CmDongle、CmActLicense、または CmCloudLiteContainerのライセンスを含みます。

今後の展望

2019年初頭、Wibu-Systemsは、CodeMeter Cloudによるソリューションの拡張を予定しています。暗号化機能を含む全機能セットを提供することで、オンプレミスソリューションのセキュア保護のために、クラウド上のサーバーを使用することが可能となります。また、そのようなオンプレミス設定がオフラインでも運用されることを前提としている場合は、CodeMeter License Centralで配布されているCmActLicenseと組み合わせて使用することができます。

CodeMeter Cloud Liteは、予測メンテナンス以外にも様々なユースケースに適用させることができます。開発言語に左右されず、クラウド上で動作するすべてのアプリケーションへのライセンシングが可能です。

 

KEYnote 36 – Edition Fall 2018

To top